謐時 一、地上を行き交う痕跡はかそけきアンダンテをきざむ誰も知らない明け残るころの出来事である

謐時 二、聞きなれた 疑いようのない 繰り返し 呼吸の残像を見る

謐時 三、刹那と 永劫を彷徨う 有情の沈黙

謐時 、丁夜が汀を染め 闇をつかまえる それは 皺月を呼ぶ 僅かな音

謐時 五、氷割が啓く声は一向にひそむ陰を白にする

謐時 六、戀